2017年10月26日木曜日

「へき地、離島等における最新の救急医療体制事情と課題」(月刊新医療)を読んで

たまたま、医局の机にあった雑誌に
「キーワードで解く一番新しい’救急医療’」

というキーワードを見つけたので、読んでみました。
いろいろな先生が書かれているのを読んで、「お!なるほど!」と思うところや「んー、どうなのかな?」と感想はさまざまでした。

「今後、地域枠の医師がへき地、離島の救急医療を支えてくれると期待しているが、・・・」
「ICTのさらなる導入、搬送手段の進化などによって集約化が進むと考えられるへき地、離島の救急医療は、実際に減衰する方向に向かう可能性がある」

と記事がありました。
本当でしょうか。現場で働いている私の意見は、また異なります。

★「今後、地域枠の医師がへき地、離島の救急医療を支えてくれると期待しているが、・・・」
  現在、医学部受験をする学生が地域枠で入学するときに将来、離島、へき地でずっと働くために入学するとみんなイメージしているでしょうか。
→答えはNoです。
 医学部に入学するためであれば、どんな方法でも入学しやすい方法で入学したい!というのが本音だと思います。大学によって政策は様々ですが、地域枠入学をしたからといって必ずしも、総合診療専門医に進むわけでもありません。ある大学では、○○科へ入局したうえで、義務年限のプログラムをローテーションするというだけです。その中に、離島や僻地で必要な知識、技術の習得をするプログラムに特化しているというのは聞いたことがありません。外科に入局したら、外科系のローテーションで、医師不足のところに何年か御恩奉公で行くという程度。では、耳鼻科や眼科希望の子はどうするのでしょうか。実際にそのような学生も見てきました。
 ですので、「地域枠の学生が将来、へき地、離島の救急医療を支えてくれる」というのは、難しいと思うのです。そう願うのであれば、学生時代により現場を見せて、early exposureをさせることや、離島へき地で必要な知識、技術をプログラムとしてしっかり作成した上で現場に指導医がいる・または、教育病院でそのことを念頭にして指導することが出来る環境にしないことには、人の充足はできないと思っています。

★「ICTのさらなる導入、搬送手段の進化などによって集約化が進むと考えられるへき地、離島の救急医療は、実際に減衰する方向に向かう可能性がある」
 たしかに、人口推移でいけば、へき地、離島に住む人口は減少していきます。
ただし、ゼロにはなかなかなりません。また、人が住んでいる以上は軽症重症関係なく病気になることもありますし、外傷だって程度の差はあれ起こりえます。
搬送手段はたしかにドクターヘリやドクターカーなどが普及してきて、以前より搬送がスムーズになり、治療が間に合うケースも増えて来ていると思います。
 ICTはどうでしょうか。
へき地や離島でICTが活躍できる場面があるのでしょうか。画像診断は確かに助かりますので放射線科医がいないところで、きわどい診断のときには助かると思います。
 ただし、救急に限って言えば、脳出血や、くも膜下出血は画像も比較的わかり易いですし、何よりも患者さん自身の症状の訴えが強いはずです。
 また、重症外傷患者さんがいたとして、ICTで何が出来るでしょうか。現場に医師がいないと(または特殊な認定看護師制度を作ってでも)、胸腔ドレーンや挿管をすることはできないです。
 現状、ICTで今できることは、画像診断の手助けと、安定している慢性期疾患の患者さんへの処方、面談だと思います(身体所見をとらなくてもいいかもしれないもの限定)

以上が私の意見です。
 やはり、人口が少なくなったときに、限られた医療経済の中で継続した医療供給をするには、少人数の医師でその地域をカバーし、その全員が救急、内科、小児科、整形外科、産婦人科、耳鼻科、眼科などを地域で必要な知識をもつように教育する必要があると思います。そうすれば、医師もお互いに休みを取りながら、長くその地域に居続けやすい環境になるのではと思います。

現場で働きながら、微力ながらも国や大学で教育をされる方への情報発信をしたいです。

2017年10月7日土曜日

目の前のことを当たり前と考えない

今朝、両親が本州からフェリーで島に遊びに来ました。車でトコトコ、途中寄り道しながら。
 朝6時前に島に着くフェリーですが、港で待っている間、満月を見ながらふと思ったこと。

「もしフェリーや船がなかったら、この島での食料や薬品などは何日で尽きるのだろう」

一ヶ月船がなかったら。一年船が来なかったら。

医療がどうのこうのと言ってられません。一瞬でぞっとしました。
陸続きではないということは、そんなリスクを背負いながら生活がなされているのだと。

電気がつかなくなったら?
インターネットが使えなくなったら?

そう考えると、いろいろな毎日にとても感謝することばかりです。

昔の人はどうしていたのだろう。
それでも生活をしていたはず。

医療はライフラインだと思っていますが、今の日本においては

食事、水、住居、電気、ガス が第一優先で
その次なのだと思います。

 地域医療で必要とされる医療、現実的な医療の提供ってどんなことなのだろう。

いつまでも、同じ医師に診てもらいたい。
今あるものがなくなるのは怖い。

一度得たものを失うのは怖いかもしれませんが、よくよく考えて取捨選択することも必要だと思います。
 
目の前にある現実は、当たり前のことではなくて、奇跡が重なって、今目の前にあることを忘れないようにしたいと思います。

2017年9月15日金曜日

離島生活折り返し

早いもので、9月も半分まで来ました。
 今月が終わると、この島での生活も半年になります。

ということは、このプログラム(RGPJ)の前半部分である、1年間の離島/へき地での研修が半分終わることになります。

 とても、とても早い半年です。
10年の医師生活で、初期研修→ER後期研修→へき地研修
と進んで、今は「離島での外科研修」
 
 4月〜7月までは、オーストラリアや銚子への出張などが重なり
なかなか病院内でのコンスタントな業務が出来ずペースを作ることが出来ませんでしたが
8月9月と規則正しい生活ができております。(週単位、月単位で考えて)

 GENEPROに興味を持っておられる先生方や、研修医の先生、医学生さんたちも見ておられると思うので、どんな生活かをお伝えしたいと思います。
上五島病院での日常は、こんな感じ(あくまでも「外科プログラム」の私の立場での視点です。)
 ・月〜金
  7時30分頃病棟へ 回診
  8時30分〜午前中は外来
 (総合診療科外来・診療所診療・整形外科外来・救急外来・上部消化管内視鏡) 
  午後〜
    手術のある日は手術・その他、ERCP、PTCDチューブ挿入など
 ・土日
  日直や当直、診療所外来 がなければ、基本休みです。
  (術後の方や気になる患者さんがおられるときは病院に行くことが多いですが・・・)    
 当直などの時間外勤務も月に4〜5回
  
  外科医として手術をしているの?
 と聞かれることがありますが、主に麻酔担当をしています。
 というのは、今後の自分の身の振り方を考えたときに、必要かつ、この一年間でもっとも勉強させていただけるのは「術中麻酔」だと。
  離島といっても、ここでは、虫垂炎や胆嚢炎、鼠径ヘルニアでも、
 患者様さんの同意があれば、基本は腹腔鏡下手術を行っています。(リスク、ベネフィットを考えて、腹腔鏡下手術のほうがメリットがあると判断したとき・ようは都市部と同じ環境です)
 
 では、半年でどれだけ麻酔に入ったのか。
  total38件(うち全身麻酔30件)
 
出張や夏季休暇で抜けてた日数を考えると、 (だいたい、2件/週ペース)
復習しながらであれば、ちょうどいいかなと。
 では、術野にはどれだけ入ったのか?
 total14件
麻酔に入るため、必然的に少なくなります。
でも、この他に整形外科の手術にも2件入らせていただいているので
とても勉強になっています。

今の自分には、確かに経験値も当然必要ですが、振り返る時間が必要かつ重要です。

魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教わるだけでとどまるでなく、
魚を調べて、どういった特性があるのか、どうやったらもっと釣りやすくなるのか?
次をもっとよくするためにはどうするのか?

一つの症例から、多くを学んでいきたいと思います。

さあ、プライベートは?
ということになりますが、私は他の研修生より英語のskillがないためなるべく英語の勉強時間に当てています。
といっても、島に妻、まだ小さな子供たちを連れてきてますので、家族の時間も当然大切です。
 なので、平日はなるべく5時〜7時すぎまでは英語の時間にあててます。診療所への移動中のタクシーの中、自転車での通勤時間もなるべくイヤホンでの英会話フレーズをlistening。
(オンライン英会話もはじめました。)
IELTS 7.0を越えることを目標にこつこつと。

 モチベーションを維持するのがとても大切ですが、一緒に頑張っている同期(ゲネプロ)や病院のスタッフに恵まれているので刺激し合いながら頑張ってます。
 
 その他にも、将来の自分の姿をイメージしたり、地域での医学教育の充実を実現させることをイメージして、モチベーションを維持しています。

何よりもGENEPROに挑戦したいと思っておられる皆さんに一番大切なのは、
   「未来の自分を描く」
ことだと思います。

Time flies pass, so lead a full life.